新型コロナウイルス感染症対策で、看護師が厳守することによって高い効果を挙げているのは、標準予防策と感染経路別予防策です。
まず、標準予防策というのは、スタンダードプリコーションともいわれ、感染症対策の基本中の基本です。標準予防策は新型コロナウイルスに感染した患者のみならず、すべての患者を対象とすることによって感染拡大を防ぐことを目的とします。
基本的な方法は、患者の新型コロナウイルスへの感染の有無に関わらず、飛沫や排泄物、そして、粘膜などの感染のリスクが考えられるものに対しては、全て個人防護具を徹底して使用します。使用する個人防護具というのは、サージカルマスク、ゴーグル、そして防護服などです。
看護師が個人防護具をしっかりと使用することで、自身を感染症から守るとともに、感染源となることを防ぐ予防効果を最大限発揮します。また、感染者を隔離するための環境を整備したり、廃棄物を適切に処理するなど徹底して行われています。
次に、最前線でコロナウイルス感染症対策を行う看護師は、感染経路別予防策を講じることが求められています。新型コロナウイルスでは、感染拡大に伴って感染経路が明らかではない患者が増えていることが懸念材料です。そこで、看護師は感染経路をシャットアウトすることを目的に、接触予防策、飛沫予防策、そして空気予防策をします。また、必要に応じて患者の移動制限をかけることで、院内感染を防いでいるのです。
看護分野で活躍する感染症対策のスペシャリストとして、感染管理認定看護師が挙げられます。感染管理認定看護師は認定看護師の資格の1つで、一定期間の実務経験を経た看護師であれば、研修を受講して試験に合格すると資格を取得できます。
具体的には、5年以上の看護勤務のうち3年以上感染症分野の経験が必要で、その後日本看護協会の指定教育機関で感染症に関する研修を受けなければなりません。実習を含む研修を修了したら、感染管理認定看護師の認定審査を受験でき、合格者に認定看護師認定証が交付されます。
感染管理認定看護師になれば、感染症対策の指導的立場に立って現場で活躍できるでしょう。認定看護師の中でも、感染管理認定看護師の資格は最も人気があり、登録者が他の分野より多く、受験者数も増えつつあります。
また、感染症対策の専門家の資格には、医療環境管理士もあります。医療環境管理士になるには、感染管理認定看護師と異なり、看護師の資格や実務経験は必要ありません。年2回の筆記試験を受けて7割程度の正答を得て合格すれば、医療環境管理士の資格を取得できます。
医療環境管理士は、医療機関等で感染症予防対策の体制を構築し、スタッフへの教育指導を行います。講演などを通じて感染症に関する知識を職員全体に浸透させ、スタッフを感染症から守らなければなりません。感染症に対する危機意識が低い部署に対しても、リスク管理の必要性を説いて、スタッフ全員が感染症予防に向けて高い意識を持てるよう尽力する義務を負います。
このように、感染症対策のスペシャリストとして活躍するための資格は多様です。看護師として今できることを模索している方は、感染症と戦っている看護師たちにフォーカスした参考サイトなどを覗いてみるとよいでしょう。